『ヒミツ』第11巻 34 レシピ3

2025.04.12 その他

34 レシピ3

冷静に考えるなら、おかしな理屈に気が付くんじゃないかしら?

トランプおじさんは、製造業をアメリカ国内に戻し、

強いアメリカを復活させるんだ、貿易赤字を解消するんだ、という。

ブルーカラーから、絶大な支持を得ながらね。

・・・でも、冷静に考えてみて。

なぜ貿易赤字になるのかしら?

なぜ、巨額の貿易赤字が続いていても、国を維持できるの?

それって、めちゃくちゃアメリカの国力が高くて、

世界中の人たちがドルを欲しがり、

米国債の需要がきわめて高いから、じゃない?

アメリカの最大の輸出品って実は米ドルそのものであり、

その借金証文である米国債自体じゃないのかしら?

ただの紙切れを印刷するだけでなんでも輸入できるなら、

こんなに米国民にとって幸せなことって、ないんじゃない?

働かなくても、苦労して製品を作らなくても、

紙を印刷するだけでなんでも買えちゃうなんて、

こんなにすばらしいことができるのは、

覇権国アメリカだけに可能な超絶的な特権なんじゃないかしら?

貿易赤字こそ、米国の強さの証明なのでは?

もし、そうした特権を放棄して、

他国同様に苦労してものづくりをしなければならないのだとしたら、

しかももうずいぶんものづくりなんてしてない国が

いまさらそれを再開する場合の苦難ときたら・・・・・。

これからアメリカ国民たちを襲う、「受難のレシピ」が透けて見えないかしら?

いい?

アメリカはね、とっくに脱工業化した国なの。

Youtubeとか、Amazon、Microsft、Meta、IBMなどに代表される、

圧倒的なソフトウェア、サービス、プラットフォームなどの力によって、

収益を得られるところまで進化した国。

きわめて生産性の高い国。

いまだにものづくりでしか稼げない国とは、次元が違うのよ。

工業なんてとっくに卒業して、はるかその先へ進んだ国なの。

なのにいまさら工業化するなんて、退化もいいとこ。

しかも、世界経済はアメリカを含め同時破壊の憂き目にあうので、

国内に戻された製造業者たちに顧客はもういない、ってオマケまでつく。

シンクタンクたちが設計した「受難のレシピ」、あなたにも見えるはずよ。