『ヒミツ』10巻  30 必要なこと3

2024.11.03 その他

30 必要なこと3

多くの人は、必要なことを必要になってからやる。

あたふたしながら、やむをえず、至急、べき、と化してから。

当然、選択肢は極端に制限される。

どれだけ高くついても、やらないわけにはいかない。

考える時間も、先回りする余裕も、配慮もなにもない。

ただ、大急ぎでしなきゃいけないことをやる、だけ。

それがね、毎日続いてるの。

あらゆることについて。

人生の大半が、「急ぎだが重要でないこと」によって

埋め尽くされているのが現代人。

思考が停止し、従属しながら、パブロフの犬みたいな

「反応」だけで終わる生。

「反応」にすぎないものを、自分の頭で考えていると

錯覚しながら生きる生。

他方で、必要になるだいぶ前から動き出す人たちもいる。

いまは必要性なんかほとんど感じられない、というのに。

時間的に余裕があるので、前後や背景について考えることができる。

自分なりに工夫することも、自分好みにアレンジすることも可能。

計画的にやれるため、コストも最小で済む。

なにより、不満や被害者意識が生じづらい。

追い込まれたからやってるのではなく、

やっといた方がいいな、と自主的に動いているからよ。

内発的に動くとき、人は主人になる。

選択肢や工夫の余地があるとき、創造のたのしみが生まれる。

時間的な余裕があると、心の余裕も体の余裕も生じやすい。

なにより、取り組むに値する本質的なことなのか、

(→ しっかり意識のフォーカスをむけ、プロセスを味わう)

そうでないから感情をからめず、粛々とやるべきことなのか、

自分で決めることができる。

後者なら、それが大好物でむしろ積極的に経験してみたい、

わたし得意なのよその辺、という人にバトンタッチすることだって。

おかしな支配構造が猛威を振るっているこの地球では、

「必要になってからやる」は、殺伐ゲームへの招待状。

ラットのレースを走るための、従属券。

他方、必要になるだいぶ前から動き出すことは、

主人性の回復券。

5割増し商品券なんか、目じゃないわ。(笑)