『ヒミツ』10巻 12 Dance with 4

2024.09.13 その他

12 Dance with 4

ダンスのヒミツ、ちょっと見えてきた?

逆方向からも、見ておきましょうか。

ダンスをもっとも強力に無効化する方法って、なんだと思う?

義務化、よ。

まず、「一人当たり、毎月100万円の粗利」「契約5本必達」って感じに、

具体的なノルマを数字や金額で設定する。

そして、週次で確認しては未達を指摘し、達成を強く求めていく。

資本主義社会では、一般的に行われているやり方ね。

個人なのか、チームなのか、全社なのか、企業によって細部は異なるけれど、

基本形はみな同じ。

「義務」は他人軸。

方向性も、基準も、ゴールも他人が決める。

結果、寄り道は許されなくなり、一直線に他人道を走らされる。

やらされ感満載となるため、熱くなればなるほど辛さが増し、

一致団結するほど未達の現実が容赦なく覆いかぶさってくる。

息苦しくなり、がまんが増え、しんどくなり、

殺伐ゲーム性がどんどん増していくの。

熱心なリーダーほど、こうしたワナにチーム全体を巻き込みやすい。

会社のことを考え、みんなのことを思い、

メンバー全員を幸せにしたいと願う熱いリーダーほど、

真逆の方向にみなを引っ張っていってしまうのよ。

・・・でもね、こうしたことは、

身をもって経験してみないとわからない。

メンバーもリーダーも、実際に巻き込まれてみないと、

腹落ちしないのよ。

そうならないよう配慮されているありがたみが分らず、

当然、感謝の気持ちも湧いてこない。

だから、漫然とあぐらをかきはじめる。

被害者たちは脳内妄想を膨らませていくし、

加害者たちはヌシ性を強めていくわ。

かくして、組織全体が自滅へ向かってまっしぐら。

あなたなら、もうこのメカニズムは理解できるわね。

なにごとも、バランスが大切。

ゼロだと組織が締まらず、競争に負けて倒産してしまう。

けれど、強すぎるとドツボ。

このあたりのさじ加減こそ、リーダーの腕の見せ所。

ダンスの技量が試されるのよ。