『ヒミツ』第9巻 39 WQライフ 02
39 WQライフ 02
西暦2100年ごろ、日本の人口は半分の6,500万人くらいになってる。
86年後ね。
あなたも子もとっくにいなくなっており、
人によってお孫さんは存命かも、って感じかしら。
6,500万人っていうと、だいたい大正時代の人口。
当時の人々から見たら、冷暖房完備の現代の暮らしは極楽そのもの。
スマホでなんでもポチって買える利便性は、浄土なみ。
毎日の栄養豊かな食事は、まるで王侯貴族のそれ。
当時からすれば、まるで天国であるかの暮らしをしているのが、
現在のふつうの日本人よ。
そしてね、世界的に見れば、いまでも8割以上の人類はそれを夢みてる。
いい?
あなたはね、すでに夢を実現させた人なの。
あなたは、すでに理想的な暮らしを手に入れた人間。
あなたはすでに、いま生きてる8割以上の人類が生涯かけても
かなえることのできない「大成功」を手中にした人物なのよ。
しかも、もしあなたが感謝の気持ちを忘れないとしたら、
さらにこれからも幸せでありつづけることができる。
経済的な豊かさは低下するかもしれないけれど、
それでも過去の多くの日本人よりも豊かだし、
現在生きてる多くの人類よりも快適で恵まれた暮らしをつづけられるの。
あなたが感謝の気持ちを失わないのなら。
なぜこんな話をするのかというと、人口が半減する場合、
国民や企業たちの消費の総和=GDPである以上、
単純に考えるならGDPが半分になってもおかしくない。
当然に、企業数だって半分でいい。
もしかしたら、あなたの手取り所得まで半分になるのかもしれない。
AIやロボットの活躍があり、上手に生き残った企業や個人たちは
上手に環境適応ができた者たちなわけで、
上記のような単純な話にはならないだろうけれど、
少なくとも十分に全体のパイが大きい現在よりは、
あらゆるものが縮んじゃう可能性が高い。
国民総貧困化という企図もかなり成功しているだろうから、
別のファクターも考慮しておく必要があるしね。
だとするなら、WQライフでは必然的に幸せのあり方も変化する。
高額な所得がなくても、大量の消費がなくても、
多くの勤め先がなくても、
好きなものを自在に買える購入先がなくても、
便利に外注できる先なんかなくても、
それでも幸せを維持していくにはどうしたらいいだろうか、
という転換よ。
それでも会社を維持し、所得の源を確保していくにはどうしたらいい?
半分を目安に、あらゆるものが縮んじゃったら?