『ヒミツ』第9巻 31 ライフスタイル 03
31 ライフスタイル 03
資本主義社会はね、これから「ファンド共産主義」とでも
いう方向へと変化していくの。
これまで、重要な社会インフラは政府や自治体が保有し、
全国民に均質なサービスを提供してきた。
民間だと儲かる都市部にばかり投資が集中しちゃうので、
地方は衰退する一方だから。
あたらしいファンド共産主義のもとでは、こうした原理原則は機能しない。
主要な社会インフラはだんだんと民間企業が保有するようになり、
その民間企業の株式をファンドが所有することで、けっきょく、
一国の産業界全体&社会全体がグローバルな巨大ファンドの支配下に
組み込まれていく。
仙台国際空港株式会社の親会社は東急だけれど、
じゃあ、さらにそれらの株主は?
・・・ってたどっていくと、全体の構造が見えてくるんだけれど、
ふつうはそこまで考えたりしない。
宮城県の第一地銀で、地元では圧倒的な強さを誇る七十七銀行だって、
「主要株主の主要株主」をたどっていくなら、グローバル・ファンドたちの
姿が浮かび上がってくるわ。
金融機関;34,494,700株
外国法人;13,394,400株
この二者で、62%を超える圧倒的なシェアをもつのよ。
これはね、たんなる民営化の話しじゃないの。
国全体を支える重要な社会インフラだけの話しでもない。
そのレイヤーはどんどん下に降りていって、
地域を支える主要企業たちが主要銀行から融資を受け、
金利や配当という形で最終的に、
富はすべてグローバルファンドに吸い上げられていく。
そういう構造ががっちりと強化されていく、ってこと。
金利や配当性向の上昇によって、過酷さは増加する一方よ。
国民の側から表現すると、値上げで搾取されるけれど、
逃げ道はないの。
これらは、グローバル・ファンドと国民たちの関係。
じゃあ、政府と国民の関係は?