『ヒミツ』第9巻 14 WQテスト06
14 WQテスト05
「社会に埋め込まれた機序たち」は、ほかにもある。
たとえば消費税よ。
消費税はね、一部のよくわかっている人からは
「悪魔の税金」と呼ばれたりすることもある。
実はあらゆる税金の中で、ダントツ苛烈なの。
所得税は、利益に課税される。
それなら、わかるでしょ。
儲かったんだから、一部は納税しなさい、って。
でも消費税は、儲かっていなくても、たとえ赤字でも納税しなきゃいけない。
いい?
販売先から預かるって、預かれるパワー=値上げする力、
つまり価格支配力があるからできることなのよ。
インフレだろうが消費税だろうが、お客様から見たら関係ない。
高いならお宅からは買わないよ、で終わっちゃうのが中小の現実。
第二に、課税される対象が付加価値部分だということ。
付加価値を生み出すのだれ?
そう、人間でしょ。
つまりね、消費税は、社員の努力に報いてできるだけ給与を高く、
福利厚生も充実させ、休みも増やし、って運営をしていると
もっとも高く課税されるように設計されてるの。
逆に、できるだけ人件費を安く抑える、
極論を言うと、社員なんか雇わないで全部派遣さんで済ます、
ってやると販管費比率が下がって、課税割合が下がっていく。
当然、経営者は経営効率を重視しなければならないので、
そうした方向へと自動的に誘導されていくわ。
中抜きしかしてない派遣会社が隆盛をきわめ、
逆に低賃金の派遣労働者たちが搾取される社会構造ってね、
こうやって作られてるのよ。
大事なことなので、あらためて言うわ。
消費税には、社員の給与水準を下げるほど企業は得をする、
という効果がある。
今後、当然に消費税は上げられていくけれど、
そのたびにこの「機序」の作用は強くなる、
という認識は持っておいた方がいい。