『ヒミツ』第7巻 50 ダブル・マインド3
50 ダブル・マインド3
アメリカは雇用が強いとよく言われる。
失業率は低いままとか、改善したとか、伸びたとか。
失業率が上がらないことと、株価が高いことが
雇用統計には、いくつものトリックが使われている。
1 まず、あまりにも採用条件が厳しいので、
就職をあきらめちゃった人たちは、分母にカウントされない。
雇用情勢が厳しくなるほど分母も小さくなるので、
数字上の失業率は悪化しづらくなるのよ。
2 つぎに、正社員とパート社員の区別はなぜか無視される。
正社員が50万人減少しても、非正規雇用が70万人増えたら、
雇用者数は増加した、労働市場は力強い、ってなる。
アホみたいでしょ?
3 雇用者のカウント方法には、
①企業に聞く場合と、②家庭に聞く場合があるけれど、
なぜかニュースで取り上げられるのも政策の根拠になるのも、①だけ。
②も集計してるんだけど、なぜか無視。
企業の担当者は、その人がどの会社とかけもちしてるか、
何社でパートしているか、なんて個別事情は知らない。
低賃金のカツカツワーカーほどダブルワーク、トリプルワークって
掛け持ちしているけれど、その水増し分は考慮されないのよ。
4 しかも、景況係数なんて意味不明の掛け算も併用されてるわ。
好況期には雇用が増え不況期には減るので、
好況時にはプラス方向に、不況時にはマイナス方向に、
サンプル調査結果には「ある倍率」が掛けられるのだけれど、
今回どんな根拠にもとづいて、いくら掛けたのかは非公開。
もう、鉛筆なめなめし放題。
高級代理人の方々はね、そうやって涙ぐましい努力を重ねて、
国の公式統計を創作しておられるの。
たいへんなのよ、ご主人様の意向を汲むって。
もちろん、優秀な経済記者のみなさまも、えらい学者先生たちも、
高名な評論家の方々も、みなこうしたカラクリは存じ上げておられる。
でも、書くと自分がカウントされちゃうので、書かない。
書けない。
株価も同じよ。
日経平均とかSP500とか、主要な指数はみな操作性が高い。
ごくごく一部の構成銘柄のシェアだけで、かんたんに指標全体を
動かすことができるの。
他のほぼすべてが低下していても、一部だけ買上げておけば
株価は堅調、ということになる。
もちろん、高級代理人の方々はみなご存じ。
国民たちは、中国や北朝鮮の独裁を笑うけれど、
もっと巧妙に脳を洗われてるのは西側諸国の自分たちかもよ、って
可能性は考えないみたい。
いいのよ、それはそれで。
あなたの自由。
気づかずに過ごす殺伐コースからもたくさん学べるし、
覚醒コースからも別の学びができる。
みな、(不)自由に選んでいいの。
そこに山があるなら、あなたはどっちから登る?