『ヒミツ』第7巻 39 変わりゆくものたち5
39 変わりゆくものたち5
会社を変えていくとき、筆者が心がけていることがある。
それは、「周回遅れで、裏道を行く」ということ。
企業間競争では、先行者利益が大きい。
勝者総取り。
だからみな、最新分野に群がるの。
筆者は基本、そういう先端分野にはかかわらないようにしてる。
大手が本気を出し、巨額資本と優秀な人材を大量投入してくるなか、
中小企業が勝てる見込みはまずない。
だから、有望分野については基本無視してる。
いまでいうと、Fintechとか、DXとか、AI、自動運転、
量子計算、5G/6Gなどなど。
ただし例外的に、すでにその市場が立ち上がっており、
今後も中期的にある程度成長が見込まれる場合には、
すぐ飽和することを前提に、その市場の成長力に便乗する、
という方法はアリだと思う。
多くの人が買いたがるので、
商品を並べておくだけである程度売れる、って場合ね。
でもその場合は、最初から撤退戦略もセットよ。
事実、筆者はちゃっかり便乗した。
いまもしてるし、一部撤退もはじめてる。
「周回遅れ」はね、ありふれた既存ビジネスのなかでも、
特に斜陽化がはじまっている分野をあえて攻める、ということ。
当然に、大手が新規参入してくるわけない。
それどころか、彼らの多くは撤退モード。
雨後の竹の子のような、ベンチャーたちは見向きもしない。
だから、ある程度の資金しかなく、そこそこの人材しかいない中小でも、
なんとかなるのよ。
レガシー分野は、改善の余地が大きい。
生産性を高めることができれば、腐りかけの鯛が一番うまい、
という状況に持ち込めるわ。
筆者の例で言うとね、中小ISPの買収がそれにあたる。
当社は卸事業者なので、仕入れ値が安い。
ほぼ償却の終わった、大規模な運用管理システムも持っている。
社員は通信事業ばかりやっているので、熟練度も高い。
赤字になってたり、将来性のない滅びゆくISPでも、
当社が運用するようになると、そこそこ高収益化できる場合が多いの。
筆者の会社では、すでに20社以上を買収しているわ。
周回遅れの事業って、ステキよ。(笑)