『ヒミツ』第7巻 30 2つの世界4

2023.11.01 その他

30 2つの世界4

ご本尊さまの高級代理人も、動くみたいね

さすが、わかっておられる。

そう、いまがピークなの。

動くなら、いま。

数年後に振り返ってみると、あのとき動き出して正解だった、

これからじゃとうてい不可能、あのときに

首の皮一枚でかろうじて渡り終えてたのね、って気がつくわ。

いまはそれくらい大事な時期。

はじめるなら、いま。

みな、現状を改善したい、もっとよくなりたいと願っている。

相応の努力も工夫もしてる。

一部の人はさらに、周囲の人たちもよくしてあげたい、って。

このとき、熱量の多い人ほど陥りがちなワナがあるから、

気をつけて。

それは、否定拡張よ。

問題意識を持つ多くの人が、このパターンにはまるの。

このやり方ではダメだ、この会社はダメだ、この制度はダメだ、

だからあたらしいものに作り直そうってするとき、

「いま」は否定される。

その先には、「理想像」が置かれる。

いまを否定しながら未来を希求するとき、なにが起こるか?

あなたなら、わかるわね。

そう、否定せざるをえない無残ないま、しょーもないいま、

みじめなこのいまが日々生産されつづける。

明日も、明後日も、来月も、来年もよ。

当然、理想的な未来なんて、永遠に来ない。

この人はダメだ、この上司は頼りない、この部下は信じられない、

この同僚はひどい、などの変形バージョンも同じよ。

妻、夫、先生、子、友人、親、などでもね。

出発地点が否定だと、到着地点も否定形になっちゃうのよ。

メカニズム上の必然。

だからがんばるほど苦しくなり、

よくしようともがくほどドツボにはまるの。

周囲にいっぱいいるでしょう、そーゆー人たち。

そうではなく、「このいま」を肯定し、「このいま」に感謝する。

たしかに改善の余地はあるし、理想的ともいえない。

むしろ、問題だらけ。

けれど、理想の会社もまたないのよ。

理想の友もいない。

理想の上司も、理想の家族もいないの。

いるのは、理想に向かっていっしょに走る仲間たち。

あるのは、理想に向かって運用される制度であり、

理想に向かって回されるところの事業だけ。

ありもしない理想を彼方に設置してあがめるから、

その反射的効果で、現状のマイナス面が必要以上に強調されるの。

でも、冷静に考えてみて。

事実として、「このいま」の制度でここまで来れたじゃない。

「このいま」の会社のおかげでいま暮らせているのだし、

「このいま」の仲間のおかげで、あなたも給料がもらえてる。

厳然たる事実よ。

あなたのその事実は、幾多のピンチを乗り越え、生き残ってきた。

時代の淘汰に耐え、ちゃんと機能してきた。

ここを認め、ここに感謝するの。

出発点が感謝だと、到着地点もまた「ありがたいなぁ、助かるわぁ」になる。

これもまた、メカニズム上の必然。

ここを間違えないで。

このいまに感謝し、この仲間たちにお礼し、

いまのこのポンコツな環境を祝福するの。

それらをエンジョイしつつ、

もっとおもしろおかしくエンジョイできるように、

できれば豊かさも幸福感も肯定感もより高められるよう、

たのしみながら改善活動をしていく。

否定拡張と肯定拡張は、目的地は同じだけれど登り方が異なる。

いい?

登り方が異なると、同じ登頂に到着しても、別の風景が見える。

否定拡張でお金持ちになったら、「もっとほしい」。

肯定拡張でお金持ちになったら、「ありがたいなぁ、助かるわぁ」。

その先に、なにが待っているか、想像つくでしょ。