『ヒミツ』第7巻 24 あべこべ社会4
24 あべこべ社会3
ああ実はね、いま世界中であたらしいタイプの国際共産主義が
ああ台頭しているの。
ああ弱者にやさしく、少数者を保護し、民主的な考え方を推進することで、
ああ逆に社会を機能不全に追い込んでいくような。
筆者は以前、こう書いた。
覚えているかしら。
わかりやすくするために、極端な例を挙げてみるわ。
架空の話よ。
<例1>
交差点で歩行者をひいちゃう事故が後を絶たない。
歩行者を守るために、車はちゃんと一時停止しましょう。
上記の主張をする議員があらわれ、国民たちの賛同を得て、
道交法が改正された。
すべての交差点で、自動車は一時停止して
歩行者がいなか確認するように。
一見すばらしいように聞こえるかもしれないけれど、
大混乱じゃないかしら。
歩道橋があろうが、トンネル内だろうが、
タヌキすらいない林道だろうが、青信号だろうが、
高速道路の分岐&合流地点だろうが、
道路が交差するあらゆる地点で一時停止よ。
きっと兆円単位の、莫大な経済損失をもたらすわね。
<例2>
目の不自由な人もいる。
そういう方々も安心して歩けるよう、
人が歩く場所には点字ブロックをつけるように。
これも、法制化されたとしましょう。
点字ブロックは凸凹して、健常者には歩きづらい。
すべての歩道だけでなく、トイレや通路、廊下や社内のカーペット、
来客時に彼らが困らないように、自宅のお風呂や玄関にも
庭にも、子ども部屋にもすべて点字ブロックが必須、って。
・・・まあ、むちゃくちゃな例えよ。
あくまでお遊び。
ここまで極端にするんなら、なんだってデメリットの方が勝っちゃう。
そう、まさにそこなの。
立派ですばらしい考えも、ちょっとやりすぎるとそこそこ具合が悪く、
ちゃんとやろうとするとけっこうしんどい。
社会は多数派がある程度効率よくまわしているので、
そうでない少数者にも配慮できる余力が生じるのであって、
多数派ですらしんどい状況になっちゃったら、
弱い立場の人たちは、逆にもっとしんどい状況に追い込まれる。
たとえば、一定期間働いたら正社員に転換しなさい、って法律。
一見すばらしいけど、その団体の経済的な余力を無視して強制すると、
LGBTでも、似たことが起こっている。
性的自任や性的志向を、本人の同意なく第三者が語ってはならない、
という正しくすばらしい趣旨の条例よ。
でも、ピンと来た人たちが寄せるコメントを読んでみて。
正しく、すばらしいことをやりすぎることで、
自滅へと誘導していく。
社会を混乱や分断に追い込んでいく。
こういう手法があるのよ、って認識を持っていないと
そうとう息苦しい社会に変えられちゃうんじゃないかしら。