『ヒミツ』第7巻 0 はじまり1
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機は熟した。
動き出すべき時。
話した通りよ。
原油価格の長期高騰は、避けえない。
世界経済は、高金利と景気の低迷とエネルギー価格の高騰という、
トリプルパンチに見舞われ、沈んでいく。
覚えているかしら?
インフレがはじまったころ、世界中で偉い人たちが一様に、
これは一過性のものだ、と連呼していたわ。
各国首脳も、似たりよったりだった。
不思議ね。
ハーバード大学やオックスフォード大学などを出た、
人類最高の知能を誇るエリート中のエリートたちが、
みな一様に、同じタイミングで、おんなじ方向に間違うなんて。
そしてね、原油価格についても、なぜかこのタイミングで、
みな一様に、おんなじ方向で、「一過性だ」の連呼が聞かれるの。
世界各国で国民たちは、だいじょうぶなんだ、安心だ、
何も問題はない、ってみんなで渡るから怖くない。
いい?
たとえば第二次世界大戦のとき、日本のような資源のない小国が、
なぜ世界最強かつ資源大国のアメリカと、
ガチンコ決戦を継続できていたんだと思う?
エネルギー資源をもたない、この島国の軍はなぜ途中まで
対等以上の戦争を継続できていたんだろう?
それはね、日本軍は台湾経由で石油を密輸できていたからなの。
なぜかその輸送船だけは、連合軍に沈められなかった。
その石油はどこから来ていたんだと思う?
アメリカ産よ。
これが、世界を動かす人々のやり方なの。
モサドは世界最高レベルの諜報機関。
イスラエルは、ほんとうに大規模攻撃の予兆をなんにも
把握することができず、ある日突然、無防備なまま、
何千発ものミサイルを撃ち込まれる事態になったんだと思う?
ほんとうに、一方的な被害者なのかしら?
そういえば、ゼレンスキー兄さんはユダヤ系じゃなかった?
世界はもうとっくに動き出している。
あなたも、動くべき時よ。