ザリガニの鳴くところ

2023.07.11 その他

久しぶりに良質なミステリーを堪能できました。

『ザリガニの鳴くところ』

有名な映画祭とかで大きな賞を取るような作品は、

エンタメ業界特有の毒々しい「洗脳演出」にまみれていて、

正直好きではありません。

血しぶきが飛んだりせず、ゾンビもサイコパスも出てこない本作は、

現代では希少なミステリー作品じゃないでしょうか。

てっきりあの人が犯人だと思っていたのですが、

いやー、見事に騙されました。

犯人がわかる時間軸の使い方も、すばらしい。

作品も見事ですが、わたしはなにより、

主人公の人生の終え方に共感しました。

周囲の偏見や無理解に翻弄されながらも、やりたいことをやり、

本を何冊か出版した後、ひっそりと消えるように森の中で死んでいく。

(「湿地の娘」ゆえ湿地だけど)

いいなぁ、ああいう死に際。

ある大物女優さんが言ってたらしい。

引退宣言なんて、おこがましい。

女優はね、最後は声がかからなくなって、ひっそり消えていくのよ、って。

それでいいんだろうな。