『ヒミツ』第5巻 39 STYLE3
39 STYLE3
筆者はどんどん変化している。
意識して、自分を変えているの。
最後の1台になったバイクも手放した。
もう十分楽しんだので、次の人へバトンタッチ。
たくさんあった車たちの処分も進めてる。
仕事の方は、若い世代を登用して会社の舵取りをまかせてる。
前の職場では使い捨ての歯車にすぎなかった人たちが、
驚異的な活躍をしはじめてるわ。
職場にこんなに活気がある会社、
社員が仕事をこれだけ自由にたのしんでる会社って、
そうそうないんじゃないかしら。
しかも、マネタイズという結果もちゃんと伴っている。
筆者が、ふつうに考えたらまだ早すぎるってくらい若い人を
次々と登用していくのには、理由がある。
「成功体験」がないからよ。
生まれてからずっと沈滞経済のなかで生きてきたので、
彼らの中には、いわゆる「勝利の方程式」「自分の黄金律」がないの。
だから、過去こうやったらうまくいったので今回もこれでいこう、
このやり方は変えるべきじゃない、って発想がない。
うまくいかないのがあたりまえであり、ダメなら別のを試そう、
ほかの方法を取り入れてみよう、って動きが自然にできるのよ。
一般にIT企業は、頭のいい、理論派のおじさまたちが多く、
「理屈をふりまわす中高年」が圧倒的な影響力をもちやすい。
百戦錬磨であり、成功を積み重ねて、今の高いポジションを得た。
当然に、一家言もってる。
実際、腕も弁も立つ。
なにが起こりやすくなるか、想像つくでしょ。
彼らがダメだってことじゃない。
人口の増加と市場の拡大という後押しがあり、
進行方向がはっきりしている場合には、
経験の蓄積も理論も明晰な頭脳もちゃんと役に立つ。
今後も、十分活躍していける。
ただ、流れを変えていこう、逆流も受け入れよう、
あえて離散も集合も湾曲も必要であるってタイミングでは
そうした指向性はマイナスに作用しちゃうの。
いま筆者の会社で最前線に立ち、陣頭指揮を執っているのは女性たち。
男性社会の中で、これまでは低賃金お茶くみ事務雑用に
閉じ込められていた人たちよ。
そして、学歴の低い男性たち。
ふつうの会社なら、壊れたら取り換えればいい方式で、
大量採用&大量解雇されてきた人々。
でも、この未曾有の変化の時代には、
そうした人々こそもっとも活躍できる人材たちなの。
事実として、筆者の会社では、この女性&低学歴男性たちが、
本来のもてるパワーを全開にして、大活躍しはじめてるわ。
ほんと、びっくりよ。
「内なる天才」が一斉に開花していくって光景、筆者もはじめて目撃してる。
既存の枠組みを、どんどん超えながら。