『ヒミツ』第5巻 30 屈折1
30 屈折1
欧米各国は、これからきびしい時代に入る。
銀行たちの連鎖破綻は、止まらないわ。
以前、日本でも、拓銀一行が破綻しただけであれだけ長期にわたり、
深刻なダメージを北海道経済にあたえつづけた。
そんなの比じゃないくらいに、激しい経済の沈滞が作り出されていく。
リーマンショック以降は、プラスの方向に粉飾が重ねられ、
あたかも西側諸国の金融システムは健全であるかのように
演出されてきた。
けれど、今回は違うの。
演出はマイナス方向に、むしろ粉飾をはぎ取る方向で重ねられていく。
ロシアはもう終わりだ、
弱いから制裁を続けて追い込みをかけるんだって
演出を軽信してきた「うっかり八兵衛」たちは、
いつの間にか経済的なダメージは自分たちの方がはるかに大きい、
世界貿易を止めてしまった代償はあまりにも高く、
ということに間もなく気がつく。
いえ、お花畑の住人たちは、それでもまだメディアに踊らされ、
今後も「そうだ!そうだ!」って、言い続けるのかもしれない。
あらゆる物/コトには複数の側面がある。
便利な自動車にも、事故という避けえないマイナス面があるように。
事故のネガティブさをことさら大きく取り上げ、
社会正義を声高にふりまわし、だから自動車は禁止すべきだ、
事故を起こした車には使用制限をかけていこう、
なんて社会になちゃったら、その国の経済や産業の発展はどうなるだろう?
AI研究において、すでに中国は独走をはじめていたわね。
あなたも知ってる通り、AIはこれから、あらゆる産業や社会全体に
きわめて大きな影響をあたえることになる。
その活用の巧拙が、明暗をはっきりと分ける。
国際競争力そのもの、とさえ言えるくらいに。
西側諸国のリーダーたちが示し、
マスメディアが声高に連呼する演出報道って、
なぜこうも共通の方向性を持つんだろう?
なぜ西側諸国のIT企業たちは、手足を縛られることになるのだろう?
自分の頭で考えてみない?