『ヒミツ』第5巻 28 他力4
28 他力4
筆者のヒミツを1つ明かしておく。
彼はね、自分の夢を叶えようとなんかしていないのよ。
彼は、「社員みんなの夢」を叶えようとしているの。
社員一人一人が、取引先の一社一社が、
それぞれの夢を叶えていけるよう、彼は動いてる。
配慮している。
だから、彼のまわりはビッグ・ウェーブだらけ。
そのビッグ・ウェーブのなかには、彼自身の小波も混じってる。
みんなの願いが叶うことを通して、その結果のおこぼれとして、
彼の夢もまた叶う。
彼はね、自社をそのように構造化したの。
ある社員は家を買った。
彼の会社に来る前、某コールセンターで安く使われていたままだと、
たぶんマイホームの夢は叶えられなかったんじゃないかしら。
ある社員は子を授かった。
前の職場で、低賃金の非正規雇用のままだったら、
結婚すらむつかしかったんじゃないかしら。
海外留学の夢を叶えた人、楽曲を電波に乗せることができた人、
TVに出演した人、億単位のお金を動かすようになった人、
前職では一オペレーターにすぎなかったのに、
ここでは何十人もの部下を従えるようになった人など、さまざま。
急に画才を発揮しはじめた人、突然まさかのマーケティングに
手腕を発揮しはじめた人、はじめてまかされたMy Projectが某電力案件、
なんて人もいるわ。
あこがれのオープンカーを手に入れた人も。
みんなの夢が叶うとき、彼の夢もまた、
その副産物として結果的に叶うことになる。
その手法は、グローバルおじさんたちと同じ。
ただ、方向性が逆になってるの。
「他力」こそ、実は自力の本質だった。
人間の本質はね、個々人の肉体側にあるのではなく、
それらが集まってクラスターとなった「集合意識」の側にある。
彼は、みんながそこへアクセスできるよう、
「社内の仕組み」を整えていったのよ。
みんなが、「内なる天才」を開花させていけるように。