『ヒミツ』第5巻 26 他力2
26 実験2
筆者は最近、あんまり自説を主張しなくなってる。
好みについても。
服は、店員さんから勧められるがままに買っちゃう。
そんな服、全然好みじゃないのに。
結果は・・・、クリビツよ。
かなりステキなおじさま、になっちゃった。
スーパーおしゃれさんに。
床屋で店員さんにまかせたら、髪型も変わっちゃった。
白髪を染めなくなったのも、「ロマンスグレーもすてきですよ」って
言われたから。
自然でいい感じ。
モテそう。(笑)
会社でも似た感じ。
一応、大学院の博士課程まで出ているので、たいていの人より知能は高い。
たぶん、社内では一番高IQ。
直観の鋭さは、ちょっと異常なくらい。
・・・でも、指示しないの。
方向性以外、言わない。
やってもらうだけ。
失敗するとわかっていても、多くはそのままやらせてる。
必要な時には、静かに、なにも言わずにフォローには入るけど、
基本、担当者にまかせっぱ。
その人の成長には、必要なプロセスだから。
収集つかなくなる。
大きな損害を被る。
組織がめちゃくちゃになる。
業績が悪化する。
経営者やリーダーは、みなそう考えるわ。
高い判断力があり、物事がよく見えているから
高いポジションにいられるわけで、
部下たちはみな格下、劣後してる、
とうていまかせられないって思ってる。
そうかしら?
そんなリーダーの采配下ではそうなる、ってだけかもしれないよ。
過去つねにそうだったし、これからもずっとそう、って。
口出ししたいその気持ちをぐっとこらえて、
試しに好きなようにやらせてみたら?
人はみな感性も行動様式も異なるので、
その人は、あなたならやらないようなことをするはず。
たぶん「あなたが無意識に除外した選択肢たち」が、
次々と実行に移されていくわ。
全部が上手くいくわけではないけれど、一部には確実に、
「自分の価値観や評価基準を行使していたら創造されなかった現実たち」が
あなたの人生に現れ出すはずよ。
他力ってね、「多力」なのよ。
あなたは一人だけれど、他人たちは無数にいる。
多様であり、多面的であり、多才。
盛りだくさんに、色とりどりに。
思いもよらぬ方法で、予想外の見地から、想定外の効果を生んでくる。
あなたが許すのなら。