『ヒミツ』第5巻 5近代化5
5近代化5
「近代化」なるものを、ざっと俯瞰してきた。
全体像をつかめるようになったあなたなら、もうわかるわね。
いまのこの世の中は、偶然こうなったんじゃない。
草の根の市民運動の成果でもない。
社会全体をデザインする者がいて、実際にその方向へと誘導する勢力もいて、
人為的に作られたその仕組みを微調整したり、維持/運営する者たちがいる。
発展させる者たちもいる。
国民のあずかり知らぬところで、国民の意思や都合とは無関係に
それらは粛々と進められていくの。
「容赦なく」といった方が正確かしら。
しかし当の国民たちはというと、自分たちが世界を作ってる、と思っている。
思わされている。
「主権者」なんだって。(笑)
いい?
自分の頭で考えない人たちは、この事実に気づかない。
なぜなら、自分の頭で考えていないから。
皮肉なトートロジーだけれど、事実だからしょうがない。
自分の頭で考えていない人ほど、自分で考えていると思っており、
自信満々に、自分は自分で意思決定し、自分こそが主体であり、
自らの意志と自由選択によってこの人生を生きている、
社会はそうした「自分たちの意思」の総和からなる、
とかたくなに信じ込んでいるの。
その強固な信念を変えることなんて、だれにもできないわ。
本人が気づいて変えようと思わないかぎり、他人には変えられないの。
グローバルおじさんたちは、人間のこうした性質を
とても上手に利用している。
確実に、あなたより何枚も上手。
じゃ、どうする?
あなたは、どう生きる?
同僚や、上司や、お客さんや、親や、子や、兄弟や、
ご近所さんや、先生や、部下にに対し、あなたはどう接する?
あなたのまわりには、「自分の頭で考えない人々」が
うじゃうじゃいるのよ。
圧倒的に、彼らの方が多数派。
彼らはみながみな、大なり小なり、グローバルおじさんたちの
誘導にしたがって、忠実にその施策を代行していくの。
もしあなたが覚醒した自分を根拠にして、自説を展開しようものなら、
あっというまに袋叩きにされちゃう。
愛する人々から、「哀れみに満ちた憂慮」を示されるかもしれない。
対立やきしみは、確実にあちこちで生じるでしょうね。
じゃ、どうする?
どう振舞ったらいいのか、自分なりにもう一度考えてみて。
自分になり直す、自分を選び直す、というあなたの「あたらしい人生」は、
ここからはじまるのよ。