『ヒミツ』第5巻 3近代化3
3近代化3
西洋と東洋は、800年周期で勃興をくりかえしてる。
「800年周期説」で探せば、すぐ見つかるはずよ。
過去800年間は、まさに西洋の時代だった。
大航海時代、スペインやポルトガルの急激な領土拡張政策に刺激され、
欧州の列強は世界各地に植民地を建設していった。
世界貿易が急激に活発化し、産業革命以降のイギリスの発展、
金融覇権による世界統治へとつながっていく。
2つの大戦を挟んで、その地位は米国に継承された。
その後の米国の繁栄は、あなたも知ってる通り。
1,200年~2,000年くらいまでの直近の800年間は、
欧米がもっとも光り輝いていた時代だった。
その前の800年間は、中国を中心とするアジアの時代だったわ。
唐や宋は数学、天文、詩歌、音楽、経済など、多様な分野で
世界文明をリードしていたのは、あなたも知ってるでしょ。
有終の美を飾ったのは、チンギス=ハンが建国したモンゴル帝国。
ユーラシア大陸を横断して、中国全土からロシア~西アジアまでと、
地球上の陸地の1/4を支配するという、世界最大の国家を形成していた。
以後、現代にいたるまで、それを超える国は出てきていない。
800年ごとの文明の勃興については、オカルティックな説明が
いろいろなされているけれど、なんのことはない、
巨額なマネーを交互に入れたり抜いたりしてる勢力がいる、
世界規模で世代を超えて連携する人々がいる、ただそれだけよ。
いまが、まさにその端境期。
欧米側から資金が抜かれ、アジアへの再注入がはじまっているの。
並行して、モーレツな技術移転も進んでいる。
安いものを大量生産するだけが得意の、「世界の工場」でしかなかった中国が、
急に欧米をしのぐ国際決済網CIPSを構築したり、
AI研究の分野で独走をはじめたり、原子炉の建設を世界中ではじめ、
人工衛星を使って量子テレポーションまで成功させてるって、
奇異に感じない?
中国は、世界で初めて月の裏側に探査機を送り込むのに成功し、
あの中国が、よ。
なぜ、突然そんなことが可能になったのかしら?