『ヒミツ』第5巻 1近代化1
奴隷制ってね、効率悪いのよ。
強制労働では、だれだってやる気を失う。
見張っていないとすぐサボるし、搾取の限りを尽くしたとしても、
生産性の向上はたかがしれているわ。
そこで領主たちは、農業であれ工業であれ貿易であれ、
民にも相応の取り分があたえらるような方式へと移行していった。
がんばったらがんばった分だけ、自分たちの取り分も大きくなる。
それが近代化&資本主義化。
なんと主権まで国民にある、ってことにされたの。(笑)
教育が施されるようになると、産業は急速に発展し
国力は飛躍的に向上していった。
実際、それは大成功だった。
みながみな、マネーを追い求めるようになった。
幼少期から人は点数を付けられ、競わさせられ、詰め込まれる。
みながみな、それが当然だと思うようになる。
「考えない大人たち=優秀なワーカー」が大量生産され、
彼らは自ら進んで、来る日も来る日も、がんばって働いてくれる。
自分たちのために。
いい?
5割は税金等でもっていかれる。
国の借金=将来の課税額=潜在的国民負担率まで加味するなら、
もうそれは6割近くになり、江戸時代の「年貢」を超えるわ。
コロナ前、すでに人類が持つ総資産の7割以上は、
コロナ騒動で格差は大幅に拡大したので、
いまはもう8割を超えているかもしれない。
こうした格差はね、物理的に奴隷制度が存在していた
古代ローマ時代よりひどいのよ。
それだけじゃない。
手取り5割の中から、物を買ったら10%の消費税がかかる。
ビールを飲むと、さらに酒税38%までW加算される。
車に乗ると、28.7円/Lのガソリン税が加算されるので、
小売り平均が160円/Lだとすると、合計18%が追加されるW課税ね。
車持ってないから関係ない?
当然それは物流費に組み込まれているので、最終的には全額を
消費者であるあなたたちが負担しているのよ。
さらに地震が起こると復興税、家を買うと固定資産税、
車を買うと重量税、吸ったらたばこ税、温泉でまったり入湯税、
旅行に行ったら宿泊税、週末にはゴルフ場利用税。
それだけじゃない。
現代の企業は、ほとんどが融資を受けたり、社債を発行したり、
株式公開して資金を調達している。
当然そこには、金利や配当という、調達コストがかかっているわ。
それらも、最終的には製品価格に転嫁されるので、
結局、最後は消費者たちがすべて負担させられることになる。
世界中の全企業の全負債、全配当のコストはすべて、
もっというと、地球上のありとあらゆるすべての負債は、
めぐりめぐって、最終的には「国民たち」が負担することになっているのよ。
そんな統計はないので推測するしかないのだけれど、
現代の平均的なサラリーマンの実質的な可処分所得って、
すでに3割いかないのかもしれないよ。
自分が働いて生み出した富の7割以上を取り上げられるのだとしたら、
それって「経済奴隷」って言わないかしら?