『ヒミツ』第4巻 42 特徴3

2023.02.16 その他

42 特徴3

しばらくして、マユミと彼女のロールプレイングがはじまった。

彼女が話しかけてきたが、マユミの方は黙ったままだ。

目をつぶり、沈黙している。

無視しているのではなく、なにか心の中で作業をしてるんだな、

というのはケイコにもわかった。

すると、急に彼女も話すのを止めた。

気づいたようだ。

彼女が気づいた、ということにケイコも気づいた。

ケイコは固唾を飲んで、二人を見守っていた。

三人の沈黙は、1分くらい続いただろうか。

他の参加者たちは、自分たちのロールプレイングに夢中になり、

隣の奇妙な沈黙にはだれも気づいていないようだ。

「どうなるんだろう?」

短い時間がとても長く感じられたが、客観的にはたいして

経過していいないだろうことは、ケイコにも容易に推察できた。

しばらくして、マユミは目を開けた。

彼女も目を開けた。

なにごともなかったかのように、ロールプレイングの時間は終わった。